―介護、老後、関係性の見直しをどうする?―
40代に差し掛かると、自分たちの家庭や子どものことに追われながらも、「親のこと」が静かに、しかし確実に現実味を帯びてきます。
「最近、母の物忘れが気になる」
「父が車の運転をやめたがらない」
「実家が遠方で、何かあってもすぐに行けない」
こんな不安や戸惑いを抱く方は少なくありません。今回は、40代夫婦が親との関係をどう見直し、どう向き合っていくかについて、現実的な視点から考えていきます。
親の“変化”に気づいたときが、話し合いのチャンス
70代を過ぎた親世代に多く見られるのが、健康や体力の衰え、認知機能の低下、判断力のブレなど。「まだ元気だから」と思っているうちに、ある日突然の入院や転倒で慌てるケースも少なくありません。
- 食事が偏る・痩せてきた
- 家の中が散らかりはじめた
- 通帳やカードの場所をよく忘れる
- 固執した言動や怒りっぽさが目立つ
こうした変化に気づいたら、「いざというとき」の準備が必要です。親と一緒に暮らしていない場合、定期的な電話や訪問で“今”の様子を知ることが大切です。
介護は「いつか」ではなく「備えるもの」
40代は仕事も子育てもまだまだ多忙な時期。そんななかで親の介護が始まると、心身ともに余裕がなくなり、夫婦関係や子どもへの影響も出てきます。
介護でよくある悩み
- 実家が遠方で、頻繁に行き来できない
- 兄弟姉妹と役割分担がうまくいかない
- 施設を探すタイミングや費用の不安
- 親が「まだ大丈夫」と支援を拒む
介護の正解は一つではありませんが、早めに「親の希望」「自分たちの限界」「公的支援」などを確認しておくと、慌てずに対応できます。
お金の話を避けないで
介護にかかる費用や、将来的な相続、財産管理など、「お金の話」はセンシティブながら避けて通れません。
話しておきたいこと
- 年金額や収入の状況
- 通帳・保険・不動産などの管理方法
- 認知症になったときの資産の扱い(成年後見制度など)
- 介護サービス利用時の支払い能力や意向
話すきっかけとして「家族のライフプランを立てたい」「相続や保険のことを整理したい」など、自分たちの事情を伝えつつ、自然な流れをつくるのがコツです。
夫婦でできる「親との関係性」の作り直し
親のサポートは、夫婦どちらかに偏るとストレスが溜まりやすくなります。お互いの親について、次のような観点で話し合っておくとよいでしょう。
- 両家の親に対するスタンス(距離感・支援の範囲)
- どちらかが倒れたときの対応策
- 休みの調整、訪問頻度の分担
- 感情的なもつれがある場合は、どう緩和するか
無理をしない範囲で「できることをする」ことが大前提。支援の手は、行政サービスや専門職にも頼ることを前提に考えて構いません。
■ 親との時間も「今」しかない
老いていく親と、ゆっくり過ごせる時間は決して長くありません。
「一緒に旅行に行く」
「昔話を聞く」
「孫と交流する時間をつくる」
介護の前段階だからこそ、「思い出を作る」ことができます。重いテーマだけでなく、温かい交流の時間も意識して持つようにしましょう。
親との関係性も“柔らかく”再構築を
40代は、親の老いに向き合い始める大切なターニングポイント。現実を知り、話し合い、必要な備えを始めることで、後悔のないサポートが可能になります。
そして大切なのは、「親をどう支えるか」だけでなく、「夫婦でどう支え合うか」という視点。
家族はチーム。だからこそ、話し合いと協力が鍵になります。
両親について
コメント